映画「紙の月」ネタバレ・考察｜ラストの意味解説

2024年4月24日2024年11月23日

映画「紙の月」は、宮沢りえが1億円を超える大金を横領した女の業を体現して、日本アカデミー賞主演女優賞に輝いた。

監督は「桐島、部活やめるってよ」の吉田大八、原作は角田光代。

そこで今回の記事では、映画「紙の月」ネタバレ・考察｜ラストの意味解説します。

それでは最後までお読みください(^▽^)/

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映画「紙の月」解説

「紙の月」は、2014年に公開された日本映画で、直木賞作家である角田光代の同名の長編小説が原作です。

物語は、一見小心者で控えめな印象の主婦が、契約社員の銀行員となり、年下の男性との関係に溺れていき、最初は少しずつだが、徐々に巨額の横領に手を染めていってしまうサスペンスです。

監督は吉田大八で、キャストには宮沢りえが主演を務め、他にも池松壮亮、石橋蓮司、田辺誠一、大島優子、近藤芳正、小林聡美、中原ひとみ、平祐奈などが出演しています。

物語は、普通の主婦が突如として巻き込まれる事件と、その事件が彼女の人生にもたらす影響を描きます。

宮沢りえ演じる主人公の心理や葛藤、周囲の人々との関係などが丁寧に描かれています。

映画「紙の月」ネタバレ・考察

映画「紙の月」ネタバレを含んだ考察をします。

始まり

学校の礼拝堂でオルガンの音色に合わせてクリスマスの讃美歌を歌う女子中学生たち。

一方、教室ではお金を数えて封筒に入れる長い髪の女生徒が一人。

そして、十数年が経った1994年の朝、通勤電車の中。

自分の降りる駅で夫と別れ、ホームに降り立つのは、あの長髪の女生徒が成長した姿の梅澤梨花（宮沢りえ）。

彼女は結婚し、現在は銀行の契約社員として働いている。

以前は普通の主婦だったが、最近は外回りの営業を担当しており、裕福な高齢者の顧客を訪ねては金融商品の販売や預金の受け入れをしている。

光太

彼女が訪れた先の一つに、前任者から引き継いだ老人・平林（石橋蓮司）の家がある。

国債を勧めるものの、前任者とのやり取りが違うと苦情を言われる。

しかし、最終的に平林は国債を買うことに同意するが、手続きの前にお茶を入れてくれと頼む。

梨花がお茶を入れるところに平林が手を置こうとした瞬間、平林の孫で大学生の光太（池松壮亮）が現れ、「大丈夫ですか」と声をかけ、事態は難を逃れる。

正文

契約社員として大きな契約を成立させた梨花は、喜びを込めて夫の正文にペアウォッチを贈るが、正文はあまり喜んでいないように見えた。

彼は仕事で上海に関わっており、すぐに席を立ち、中国語の勉強を始めた。

梨花は彼の反応に寂しさを感じる。

関係

改札で平林の孫である光太と出会う。

光太は梨花の美しい顔を覚えており、改札を出た後も彼女を追いかける。

梨花は彼を気づきながらも、自分の駅で降りる。

しかしその後、再び駅で出会った二人は言葉を交わさずにホテルに向かい、関係を持つことになる。

着服

梨花は朝方に家に戻るが、正文は上海出張中で不在だったため、彼女の夜の行動はバレなかった。

正文は帰国時に高価な時計を免税店で買い、梨花にプレゼントするが、彼女の心はそれに触れられなかった。

梨花と正文には子供がおらず、正文が上海に転勤になった際、梨花についてきてほしかったが、彼女は仕事が忙しいと理由をつけて上海行きを断る。

2年間の海外転勤中、梨花は光太との関係に没頭する。

光太が平林から学費を借金していることを知り、200万円を渡すために顧客から預かった金を着服する。

悪いこと

夫の不在中、家は梨花が証書を偽造するための散らかったオフィスのようになっていた。

梨花の服装や化粧も次第に派手になっていった。

同僚の恵子から「身に着けるものとか、見張られてますよ」と忠告されるが、梨花は無邪気に振る舞う。

恵子は人様のお金を扱うことでおかしくなりそうだと梨花に警告し、「悪いことしないように、私の手を見張っててくれませんか」と頼む。

また、恵子は次長の井上と不倫関係にあることを梨花に打ち明ける。

立場

マンションでの梨花と光太の逢瀬の場面で、梨花は光太が若い女性を連れ込んでいるのを目撃し、二人の関係は終わりを迎える。

行員歴25年の隅より子は梨花の横領を感づいており、次長にそのことを報告する。

次長は梨花を問い詰めるが、隅より子が次長の不倫を暴露しない代わりに梨花を庇い、事なきを得る。

梨花は横領した金を返済するため、再び顧客から金を預かり、それを着服するサイクルに入る。

しかし、梨花は消費者金融に頼ることを躊躇し、次長や隅に正直に告白する。

隅は穏やかに梨花に対し、自らの立場を考えるよう促す。

ラストシーン

場面は変わり、梨花が東南アジアの国に逃亡している。

かつて中学生のときに寄付を通じて助けた貧しい子供たちの国だ。

しかし、梨花は父親の財布から盗んだ金を寄付しており、その行為が彼女の精神を狂わせてしまった。

彼女が逃亡先で立ち尽くしていると、彼女が助けた子供が成長し、果物売りをしているのを目撃する。

子供は梨花にりんごを差し出し、物語は彼女がそのりんごにかぶりつく場面で終わる。

映画「紙の月」ラストの意味解説

ラストシーンには、梨花の内面の変化と物語全体のテーマが表現されています。

梨花は過去に寄付活動を通じて貧しい子供たちを助けることに喜びを見出していましたが、その行為が彼女の心を歪ませ、狂わせることとなりました。

彼女は父親の財布から盗んだお金を寄付に使い、その後その行動に対する罪悪感や自責の念に苛まれることになりました。

最後のシーンでは、彼女がその過去の行為を背負って逃亡先の国に立ち尽くす姿が描かれます。

彼女が助けた子供が成長し、果物売りをしている姿は、彼女の過去の行動がその子供たちにどのような影響を与えたかを示しています。

彼女がりんごを受け取り、かぶりつくシーンは、彼女がその過去と向き合い、自らの過ちや過去の行動に対する償いを受け入れる決断をする瞬間を象徴しています。

このラストシーンは、過去の行動とその結果への直面というテーマを強調し、梨花の内面の変化と成長を示しています。

彼女が自らの過ちと向き合い、その結果として得られる教訓を受け入れることで、彼女の物語は一つの区切りを迎えるのです。

映画「紙の月」タイトルの意味

「紙の月」のタイトルには、物語のテーマや象徴が含まれています。

一般的に、「紙」は脆弱性や仮初のものを表し、「月」は夢や希望、または不安定なものを象徴することがあります。

このタイトルは、主人公や物語の中心となるテーマやキャラクターの内面の葛藤、不安、または過去の出来事に対する追憶など、一連の複雑な感情や状況を指し示している可能性があります。

また、「紙の月」というフレーズ自体が、物語の中で言及される具体的なイメージやメタファーとして使用されるかもしれません。

例えば、登場人物が夢や希望を追い求めるが、それが実現不可能であるか、または砕けやすいものであることを示す際に使われるかもしれません。

物語全体を通して、このタイトルがさまざまなレベルで意味を持ち、物語のテーマ性やキャラクターの複雑な心情を象徴する重要な要素である可能性があります。

映画「紙の月」感想

映画「紙の月」は、宮沢りえ主演で描かれる一人の女性の葛藤と欲望が織りなすサスペンスドラマです。
この作品は、観る者を引き込む緊迫感と人間の内面を鋭くえぐる描写が魅力です。
物語の中心には、銀行で働く平凡な女性・梨花（宮沢りえ）が、ある日、恋と欲望に駆られて不正に手を染めてしまうというショッキングな展開があります。
その行為の背景には、社会的な役割や周囲からの期待に応えながらも、心の中で押し殺してきた彼女自身の孤独と渇望が潜んでいます。

映画全体を通して、宮沢りえの繊細な演技が光ります。
特に、彼女が欲望に飲み込まれていく過程を丁寧に描いたシーンでは、観る者は梨花の内面に深く共感すると同時に、彼女の行動に対する批判的な視点を持つことができます。
緊張感あふれる演出と美しい映像美が、彼女の心の揺れを見事に表現しており、観終わった後に深い余韻を残します。

「紙の月」は、単なる犯罪映画ではなく、現代社会に生きる人々の孤独や欲望、そしてそれがもたらす悲劇について考えさせられる作品です。
特に、女性の視点で描かれた葛藤や選択が、観る者に新しい視座を提供する点が印象的です。
SNSやレビューサイトでも話題となったこの作品は、単にストーリーの面白さだけでなく、社会的なメッセージ性を持った映画としても高い評価を受けています。