映画「愚行録」ネタバレ・あらすじ！ラストシーンの意味と考察や感想

2024年6月14日2024年12月13日

映画「愚行録」は、貫井徳郎の直木賞候補作を、妻夫木聡と満島ひかり共演で映画化したミステリーです。

先の読めない予想外の展開が圧倒的な衝撃です。

そこで今回の記事では、映画「愚行録」ネタバレ・あらすじ！ラストシーンの意味と考察や感想を紹介します。

それでは最後までお読みください(^▽^)/

映画「愚行録」解説

エリートサラリーマンの夫、美人で完璧な妻、そしてかわいい一人娘の田向一家。

そんな絵に描いたように幸せな家族が、ある日何者かに惨殺された。

事件発生から1年後、週刊誌の記者である田中は、改めて事件の真相に迫ろうと取材を開始するのだが…。

キャスト

田中武志：妻夫木聡
田中光子：満島ひかり
田向浩樹：小出恵介
宮村淳子：臼田あさ美
稲村恵美：市川由衣
夏原友季恵：松本若菜
尾形孝之中村倫也
渡辺正人：眞島秀和
橘美紗子：濱田マリ
杉田茂夫：平田満

スタッフ

監督：石川慶
原作：貫井徳郎
音楽：大間々昂
脚本：向井康介

映画「愚行録」ネタバレ・あらすじ

映画「愚行録」のネタバレを含んだあらすじを紹介します。

未解決事件

半年ぶりに妹の光子と面会した田中武志は、暗い表情で口数も少なかった。

光子は自分の子供を虐待したとして逮捕されたが、兄とは対照的に饒舌だった。

彼女が兄との再会を喜んでいるのか、田中には分からなかった。

田中の上司は、彼の強引な提案を半ば諦めたように承諾した。

その提案とは、未解決事件の再調査だった。田中は気持ちを紛らわすために、この調査に没頭し始めた。

愚行録

まず向かったのは、未だに空き家となっている被害者の家だった。

田向家は幼い娘と共に住んでいたが、何者かによって一家全員が殺害された。

その事件以来、周辺住民は次々に引っ越していった。田中は当時の田向家の夫の同僚に接触した。

田中はその男と酒を飲みながら、田向について詳しく聞いた。

男は田向をとても良い人間だと語り、「なぜあんないい奴が」と涙を流した。

次に田中は、田向の妻を知っている女性に話を聞いた。

その女性は洒落たカフェのオーナーで、かつて田向の妻が夏原と名乗っていた頃の大学同期だった。

美貌と人望を兼ね備えた完璧な女性、それが夏原だった。

完璧

しかし、その完璧さゆえに彼女を嫌う人もいた。

カフェオーナーの宮村もその一人だった。

宮村の元彼である尾形も、当時の宮村が夏原に対する嫉妬心に囚われていたと証言した。

そして、尾形は宮村から夏原に乗り換えたのだ。

犯人の特定には至らなかったが、その記事は連載された。

次の取材がすぐに始まったが、その夜、会社に一本の電話が入った。

女性の声で「田向さんはそんな人じゃない、私は犯人を知っている」と語られた。

過去

待ち合わせ場所は田舎町で、そこにいたのは稲村という女性で、小さな赤ん坊を連れていた。

田向とは大学時代に付き合っていた彼女は、田向が彼女の父親が社長を務める会社に入るために近づいてきたことを語った。

田向は別の女性にも同じ目的で近づき、利用していたのだった。田向には殺される理由と敵がいたのだ。

ある日、田中は妹の弁護士に呼び出された。弁護士は田中と妹の過去を確認したいと言い、兄妹の過去について話し始めた。

田中兄妹は物心ついた頃に家を出た。

母は再婚し、新たな家庭を築いていた。

性的暴行

実の父親は行方不明だったが、妹は父親から性的暴行を受けていた。

ある夜、田中は父親に馬乗りになり殴りかかった。

その後、父親は姿を消した。

妹が虐待していた子供の父親は誰なのか、田中にもわからなかった。

弁護士と話している最中、田中の携帯が鳴った。

電話の相手はカフェオーナーの宮村だった。彼女は犯人に心当たりがあると言った。

宮村は当時の様子を語り始めた。

夏原と仲良くしていた女の子が、次第に男に遊ばれる存在となり、大学から姿を消した。

幸せそうな夏原一家

その女性は最近、自分の子供を虐待したとして逮捕されたという。

宮村は夏原を嫌いながらも、その女性にも冷たかった。田中はカフェの置物で宮村を殴り殺した。

光子は真っ白な部屋で精神鑑定を受けていた。

大学で夏原と出会い、憧れていたが、いつしか男に呼ばれる存在となり、大学を辞めた。

数年後、デパートで夏原を見かけた光子は、彼女を追い、立派な家で幸せそうな夏原一家を包丁で襲った。

医者が戻り、光子の独り言を聞いていた。

光子の子供が息を引き取ったと知った光子は笑うしかなかった。

二人だけの秘密

弁護士は光子の母親に知らせに行き、光子の子供の父親が実の父親ではなく、兄である田中とも関係を持っていたことが明らかになった。

光子と面会した田中は、子供の死を悔やんでいたが、光子は楽しそうに「私は秘密が大好きだ。二人だけの秘密だ」と言った。

映画「愚行録」ラストシーンの意味と考察や感想

光子が兄の田中武志に「私は秘密が大好きだ。二人だけの秘密だ」と告げる場面は、二人が共有する罪と過去から逃れられないことを示しています。

この「秘密」とは、光子の子供の父親が田中であるという衝撃的な事実です。

兄妹の禁断の関係が明らかになることで、物語全体が抱えていた不穏な空気が頂点に達します。

映画のタイトル『愚行録』が示す通り、人間の愚かな行動が引き起こす連鎖的な悲劇がテーマです。

田向夫妻の殺害、宮村の殺害、そして田中兄妹の関係と、その全てが愚行の結果として描かれています。

ラストシーンは、その愚行がさらに深刻な事態を招くことを暗示しています。

田中が記者として未解決事件を追う姿勢は、真実を追求する姿を象徴していますが、自分自身が重大な秘密を抱えていることで、その追求が虚偽に満ちたものとなります。

ラストシーンは、真実と嘘の境界が曖昧であることを強調し、観客に何が真実で何が嘘かを再考させます。

光子の行動には、過去の屈辱や苦しみに対する復讐心が含まれていますが、その復讐は自分自身をも破壊する結果となります。

夏原一家を襲った行動も、兄との関係も、自分を破滅へと導いているのです。

ラストシーンでの光子の言葉は、復讐と自己破壊のサイクルを象徴しています。

感想

映画『愚行録』は、人間の暗部に鋭く切り込む作品であり、そのラストシーンは特に強い印象を残します。

光子が兄に対して「私は秘密が大好きだ」と告げる場面は、彼女の歪んだ心理と逃れられない過去を象徴しており、観客に深い衝撃を与えます。

このシーンを通して、映画は人間関係の複雑さや隠された真実、そして愚かな行動が引き起こす悲劇を描いています。

兄妹の禁断の関係が明らかになることで、物語全体が持つ緊張感と不安が頂点に達し、その重さに圧倒されます。

まとめ

今回の記事では、映画「愚行録」ネタバレを解説しました。