今回紹介する映画は、ヴィム・ヴェンダース監督の『PERFECT DAYS』です。
この作品では、役所広司さんが主演し、第76回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞しました。
物語は、日々の生活の中で確立される日課や仕事の中で達成感を感じ、同時に平凡な毎日に焦りを抱くことがあるというテーマを描いています。
私たちは時折、変化を望みながらもルーティンに捉われがちです。
私自身も歳を重ねながらも変化を求めています。
主人公の平山は、自らが選んだ生活において同じ行動を繰り返しています。
果たして彼の心に変化が訪れるのでしょうか?
本記事では、『PERFECT DAYS』のネタバレを含んだ感想を紹介していきます。
PERFECT DAYSのあらすじ
東京・渋谷でトイレ清掃員として働く平山(役所広司)は、穏やかで静かな日々を送っていました。
同じ時間に目を覚まし、同じ手順で身支度を整え、同じ仕事に取り組みます。
これらの日々が単調な繰り返しに見えることもありますが、平山にとっては同じ一日でも新しいものとして受け止められています。
その生き方は美しさを備えており、彼は木々を特に愛していました。
木漏れ日の中で目を細め、自然と調和しているようでした。
彼の仕事は東京渋谷の公衆トイレの清掃員であり、彼は押上の古いアパートで一人で生活しています。
その生活は非常に規則的で、同じことを繰り返す中で孤独を感じさせません。
しかし、その中で彼の生き様は他とは異なり、夜が明ける前に老女の竹ぼうきの音で目を覚ます瞬間や、薄い布団を畳み、清掃のユニフォームに身を包む瞬間など、何か特別なものを感じさせます。
彼は毎日、同じルーティンの中で異なる場所のトイレを掃除し、その日によっては一言も発しないこともあるかもしれません。
仕事が終わると夕方になり、再びアパートに戻ります。自転車に乗り換えて銭湯へ向かい、地元の居酒屋で決まったメニューを楽しんで、本を読みながら寝入るまでの時間が続きます。
そして、また竹ぼうきの音で目を覚ますのです。
男の人生はまるで木のようで、いつも同じ場所にいて動かないかのようでした。
同僚のタカシのいい加減な態度をどうしても憎めないし、日常で出会う人々や出来事に心が引かれます。
そんな中、彼の日常に予測できない出来事が巡ってきます。
それは彼の過去を小さく揺るがせる出来事でした。
PERFECT DAYSで使われた曲は?
- House of the Rising Sun. The Animals. …
- Pale Blue Eyes. …
- (Sittin’ On) the Dock of the Bay. …
- Redondo Beach. …
- 青い魚 …
- Perfect Day. …
- Brown Eyed Girl. …
- Feeling Good.
PERFECT DAYSのネタバレを含んだ感想
“映画は夜の闇と朝の光を描いています。
繰り返される日々の終わりには混沌の夜が訪れます。
主人公が夜ごとに見る夢は、ヴェンダース監督の作品に特有の空虚で彷徨うイメージのコラージュで表現されます。
彼は迷宮を抜け、目を覚まし、喜びに満ちた空を見上げます。
そして、再び一日の生を受け入れる安堵と喜びが感じられます。
このシーンは何度も描かれますが、私はそのたびに勇気をもらいます。
また、木漏れ日も映画の中で重要な要素となっています。
陽の光が葉の間からこぼれ、葉たちは重なり合い、影が形成され、それが重なり合って彩りを濃くします。
特に三浦との影踏みのシーンでは、私は感動して涙してしまいました。
この映画は自分の生き方や考え方に影響を与える作品であり、私にとっては大変愛着のあるものです。”
“うん、本当に素晴らしかったです。
役所広司の演技が最高でした。
何も大きな出来事は起きないけれど、これが日常であり、毎日が幸せなんですよね。
平山さん役の役所広司、無口で言葉に慣れていない印象が、なぜこれほど素晴らしいのか不思議です。
彼が嬉しそうにするだけで、観ている側も嬉しくなり、涙が出そうになります。
通常は退屈に感じそうな映画こそ、映画館で観るべきなんですよね。
最後のカセットテープの音楽と、平山さんの涙には、彼の感情がどのようなものなのかを考えさせられました。
平山さんに直接聞いてみたい気持ちもありますが、同時にその気持ちが理解できる気もします。
ヤケ酒をしている平山さんや、影踏みのシーンも素晴らしかったですね。
イケおじ2人の姿は眼福すぎました。
毎日少しずつ本を読んだり、毎週写真を現像して仕分けたり、自由気ままに1人で楽しんでいる平山さんは可愛らしいですね。
育てている植物にちょん、とやる姿もかわいいです。
平山兄弟には過去に何があったのか、気になりますね。
平山さんと友達になりたい気持ちもあります。彼に色々なことを聞いてみたいです。
最後に木漏れ日が出てきたのも本当に感動的でした。
以前の映画レビューで触れられていた通り、木漏れ日は本当に最高ですね。
私も大好きです。”
“ヴィム・ヴェンダースが日本のトイレフェチか?と疑問に思ったら、実はTHE TOKYO TOILETプロジェクトのための映画だったんですね。
こんな美術館みたいなトイレがたくさんあること、知りませんでした。
どんな格好をしても渋く決まってしまうイケオジ役所広司が、美しすぎるトイレ掃除映画を演じています。
彼の姪もまたスタイルが良すぎるんです!
現実味はまるでないけど、このテーマで2時間もの間、退屈せずに観られる作品を作り上げたなぁと感心します。
石川さゆりのガチ熱唱シーンは、紅白を彷彿とさせて素晴らしかったです。”
“60代の男性が「街の上で」、つまり東京という街のある一部で日常を過ごす話です。
日常の中には非日常が潜んでおり、同じことの繰り返しや他人から見ればつまらないように見える日々も、くだらない習慣であっても、一日として同じ日はないのです。
好きなものはずっと好きで、カセットも本もコンパクトフィルムも、銭湯もお酒とツマミも、馴染みの店と客と、ちょっとしたことに笑顔があふれています。
だからこそ、不測の事態とまではいかなくても、日常が少し乱れると気持ちも乱れる。
まるで吸わない煙草のような感覚です。
時生くんが大好きなんですが、そのキャラクターが20代前半のものだったのはなぜなんでしょう。
それなら20代前半の役者にもチャンスを……と途中で邪念がよぎりましたが、姪とのシーンからはよくわからない感情が溢れてきました。
もっと家族(妹)との確執に深く掘り下げても良かったかもしれません。
そうすればもっと平山さんに寄り添えた気がします。
とにかく、役所広司の演技は素晴らしかったです。
ヤクザも心優しいおっさんも前科持ちも、どうしてこんなにもんのすごく魅力的に描けるのでしょうか。
深読みしすぎなのか、役所広司だからか、すばらしき世界の三上の部屋に似ていたからか、平山さんも出所後なのかと。
彼が布団を畳み、ルーティンをきっちり守っている姿も気になります。
その辺りの設定について調べてみるのも良いでしょう。”
“物語は非常に静かに始まり、主人公である平山さんの生活がドキュメンタリー風に描かれます。
平山さんは言葉をほとんど発しませんが、小さな喜びや心の動きは表情から読み取ることができます。
ありふれた出来事も、その一つ一つには無意味なことはなく、天気が変われば関わる人も変わります。
劇中の音楽も非常に素敵で、その中の1曲は昨年私もよく聴いていた曲で、確かにこの私も昨年の自分とは異なる存在になっていることを感じました。
セリフが少ないため、平山さんの発する言葉は記憶に残ります。
そして、ラストの表情とエンドロールも素晴らしかったです。”
まとめ
『PERFECT DAYS』無口サブカルおじさんのお洒落トイレ博覧会。これでいい、これがいいの境地。同じ木漏れ日がないように、日々もひとも変わり続ける。出会っては通り過ぎる女性達と、上を向いて進む役所広司から目が離せないが、全編に漂う企業案件感を10点中何点感じるかで評価割れそう#PERFECTDAYS pic.twitter.com/w4YfEJR348
— オガワヘヴンリー (@k_ogaga) December 23, 2023
以上、PERFECT DAYSのネタバレや感想を紹介しました。
PERFECT DAYSは、辛気臭いアート作品ではなく、なんというか、ニヤニヤする感じの面白さがあります。
70年代のR&Rをカセットテープで聴いたり、銭湯での一番風呂、古本屋さんでの「わかってる」買い物など、どれも繰り返されるシーンには少しばかりのユーモアがあります。
爆笑はしないけど、ずっとニヤニヤしっぱなしです。
そして、この作品のキーとなるのは「木漏れ日」。それは本当に美しいですよね。
いつかストーリーを忘れても、平山さんが木漏れ日を嬉しそうに見上げる美しいシーンは、きっと忘れないでしょう。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
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