映画「去年の冬、きみと別れ」は、芥川賞作家のベストセラー小説を豪華俳優陣の共演で映画化したサスペンスです。
そこで今回の記事では、映画「去年の冬、きみと別れ」ネタバレ・あらすじ!原作との違いの考察と感想を紹介していきます。
それでは最後までお読みください(^▽^)/
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映画「去年の冬、きみと別れ」解説
最愛の女性・百合子との結婚を控える記者・耶雲。
彼は1年前に起きた未解決猟奇殺人事件の元容疑者で天才カメラマンの木原坂のスクープを狙っていた。
だが、耶雲が事件の真相に近づこうとしたその時、木原坂の魔の手が百合子に及んでしまう。
キャスト
- 耶雲恭介:岩田剛典
- 松田百合子:山本美月
- 木原坂雄大:斎藤工
- 木原坂朱里:浅見れいな
- 吉岡亜希子:土村芳
- 小林良樹:北村一輝
スタッフ
- 監督:瀧本智行
- 原作:中村文則
- 音楽:上野耕路
- 脚本:大石哲也
映画「去年の冬、きみと別れ」ネタバレ・あらすじ
映画「去年の冬、きみと別れ」のネタバレを含んだあらすじを紹介します。
ある事件
フリーライターの耶雲恭介は、ある事件の記事を編集社のベテランライター小林良樹に持ち込みます。
その事件とは、異才のカメラマン木原坂雄大が撮影中に発生した火事で、モデルの女性が焼死したというものでした。
この事件はすでに裁判で決着がついており、雄大は過失致死傷で執行猶予の判決を受けています。
小林は解決済みの事件は記事にならないと取り合いませんが、恭介は「結婚を控えており、自分の力を試したい」と熱弁し、小林は渋々協力を承諾します。
恭介は、雄大が故意に女性を助けなかった可能性があり、その時の写真が存在するかもしれないと主張しますが、証拠はありません。
小林は「裏を取らないと記事にできない」と言い、恭介は事件の本格的な調査を開始します。
取材
恭介は雄大に取材を許され、次第に雄大のスタジオに出入りするようになります。
小林はあまり深入りしないよう警告しますが、恭介は雄大や彼の姉・朱里など周囲の人物にも熱心に取材を続けます。
雄大の父親が彼の幼少期に刺殺されていたことが判明します。
雄大と朱里は父親から虐待を受けており、姉弟が殺害した可能性も考えられましたが、刺し傷は子供が付けられるようなものではなく、第三者の関与も立証されませんでした。
裏垢
取材に明け暮れる恭介は、婚約者の松田百合子との関係を疎かにし、ついに百合子のバイト先の喫茶店で口論になります。
その様子を外から雄大が見ていました。
雄大は取材を通じて百合子に興味を持ち、接近しようとしていたのです。
恭介と百合子の関係はさらに悪化し、百合子は姿を消してしまいます。
恭介は百合子のTwitterの裏アカウントを見つけ、彼女が雄大のスタジオに監禁されていることを知ります。
急いでスタジオに駆けつけると、雄大が現れ、百合子の写真を見せて「彼女は自ら望んでここに来た」と言います。
焼死
小林も駆けつけますが、スタジオはすでに炎に包まれていました。
恭介は百合子がいる部屋に辿り着きますが、火の手が回り、狂ったようにシャッターを切る雄大の姿がありました。
その先には燃える百合子の姿が…。
百合子は焼死し、雄大は殺人犯として逮捕されました。
最愛の人を失った恭介は抜け殻のようになり、小林も自分の非力さに打ちのめされます。
しかし、今回の事件に違和感を覚えた小林は、恭介のことを調べ始めます。
そして、驚くべき事実が浮かび上がります。
真実
実は、恭介には別の目的がありました。
彼の名前やフリーライターの肩書きはすべて偽物で、恭介は最初の焼死事件の被害者・吉岡亜希子の元恋人だったのです。
恭介は亜希子への強い思いから関係が崩れて別れましたが、彼女への未練を捨てきれませんでした。
亜希子は雄大に監禁され、焼死したのです。
事件には雄大の姉・朱里も関与しており、彼女は燃える人間に執着する雄大のために亜希子に火を付けました。
さらに、小林も木原坂姉弟と関わっており、父殺しの共犯として朱里の言いなりになっていたのです。
小林が恭介に調査を止めるよう言ったのは、この事実が露見するのを恐れていたからでした。
復讐
恭介は朱里との接触で真実を知り、復讐を決意します。
彼は雄大を確実に死刑に追い込むために、2人の殺人犯として仕立て上げる計画を練りました。
ネット掲示板で知り合った女性に婚約者を演じさせ、雄大を誘い出します。
この女性が百合子だったのです。
百合子はわざと監禁され、隙を見て脱出。
恭介は朱里を睡眠薬で眠らせて誘拐し、スタジオに連れ込み百合子と入れ替えて火を放ちます。
スタジオに戻った雄大は火に歓喜し、燃えるのが実の姉とも知らずに写真を撮り続けました。
現場に居合わせた小林も、燃えているのが溺愛した相手とも知らず見ているだけでした。
すべてを知った小林は「お前こそ狂ってる、化け物だ」と泣き崩れます。
恭介は「復讐のために今までの自分を捨てた」と話し、本当の別れは化け物になると決心した去年の冬だったと明かします。
映画「去年の冬、きみと別れ」原作との違いの考察と感想
原作小説「去年の冬、きみと別れ」は、叙述トリックを駆使した作品であり、その独自の構成は映像化に適していません。
今回の映画版では、この難題に対処するために二つの大きな改変が施されています。
まず、キャラクターの配置を変更した点、そして時系列を入れ替えた点です。
人物配置の変更
原作小説では、物語は二人の主要人物によって進行します。
一人は木原坂雄大を取材する記者、もう一人は木原坂姉弟に復讐を果たす編集者(映画版では編集長が加害者側ですが、原作では復讐者側)。
記者は編集者の依頼で火災事件の真相を本にまとめ、その目的は木原坂の姉を殺害した編集者が獄中の木原坂に真相を知らせ、復讐を遂げることでした。
つまり、物語自体が木原坂への復讐のために執筆された本という巧妙なトリックが仕掛けられています。
映画版では、この二人の役割を一人の人物に統合し、編集者を吉岡亜希子殺害の共犯者とすることで、このトリックを映像的に実現しています。
物語のラストで、編集者が主人公の書いた本を読むことで、原作の読者と同じ衝撃を体験させる仕組みになっています。
時系列の入れ替え
原作では、物語は木原坂雄大の死刑が確定した後から始まります。
死刑囚となった木原坂に記者が取材を行い、事件以前の出来事を探るという倒叙的な構成です。
一方、映画版では、木原坂が最初の火災事件の容疑者となり執行猶予で釈放されたところから物語が始まります。
この変更により、事件に無関係と思われた人物が実は事件のキーマンだったというトリックを映像的に再現しています。
また、原作では物語開始時点で木原坂朱莉が殺されているため、復讐の共犯である百合子が朱莉になりすまして記者に取材を受けています。
映画版では、時系列を入れ替えることで、木原坂がまだ生きているように見せかける巧妙な仕掛けが施されています。
原作からの改変点
映画版の改変で特に優れている点は、主人公の恋人の殺害に関与した人物たちへの復讐が徹底して対になっている点です。
主人公の恋人・亜希子を見殺しにした木原坂雄大には、彼に最愛の姉を見殺しにさせるという復讐を果たします。
亜希子を焼死させた木原坂の姉・朱莉には、彼女が火を放った時のようにそのまま焼死させるという復讐がなされています。
さらに、亜希子の誘拐に関与した小林には、彼が最も愛していた朱莉を焼き殺すという形で復讐が果たされています。
このように、悪行に対する因果が見事に対を成す構造になっています。
映画版の工夫と主人公の心情
映画版では、百合子が主人公の婚約者を演じる中で本当に彼を愛するようになる展開が加えられています。
これは原作にはない要素であり、主人公の心情を深く表現しています。
百合子は、自殺志願者として描かれ、耶雲と同じく欠落を抱える人物として描かれており、彼に惹かれることに説得力を持たせています。
感想
映画版の一部には不満点もあります。
例えば、耶雲と木原坂朱莉が初対峙する場面で、朱莉が事件の真相を聞き出すために耶雲に薬物を使いますが、薬物を使わない方が彼の絶望が増したのではないかと感じました。
薬物を使わずに朱莉を抱くことを迫られ、苦渋の決断の末に抱いた方が、真相を知らされた時の後悔と自責の念が深まったでしょう。
また、百合子と朱莉を入れ替えるトリックには不確定要素が多すぎると感じました。
木原坂が百合子を残して外出するのは確実ではなく、百合子が燃え盛る火の中で大人しく椅子に座っているのも違和感がありました。
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まとめ
今回の記事では、映画「去年の冬、きみと別れ」ネタバレを解説しました。
映画「去年の冬、きみと別れ」は、芥川賞作家のベストセラー小説を豪華俳優陣の共演で映画化したサスペンスです。
それでは最後までお読みいただきありがとうございました^^
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