映画「朝が来る」ネタバレ・あらすじ！「なかったことにしないで」セリフの意味と考察・感想

映画「朝が来る」は、河瀨直美監督が直木賞作家・辻村深月のベストセラーを映画化したヒューマンミステリーです。

永作博美、井浦新ら実力派俳優の迫真の演技に圧倒されます。

そこで今回の記事では、映画「朝が来る」ネタバレ・あらすじ！「なかったことにしないで」セリフの意味と考察・感想を紹介します。

それでは最後までお読みください(^▽^)/

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映画「朝が来る」解説

一度は子供を持つことを諦めた夫婦・栗原清和と佐都子は「特別養子縁組」という制度を知り、男の子を迎え入れる。

それから6年、朝斗と名づけた息子の成長を見守る幸せな日々を送っていた。

だが突然、朝斗の産みの母親を名乗る女性から電話がかかってきて…。

キャスト

栗原佐都子：永作博美
栗原清和：井浦新
片倉ひかり：蒔田彩珠
栗原朝斗：佐藤令旺
片倉貴子：中島ひろ子
片倉勝：平原テツ
片倉美咲：駒井蓮
麻生巧：田中偉登
浜野剛：利重剛
浅見静恵：浅田美代子

スタッフ

監督：河瀬直美
原作：辻村深月
音楽：小瀬村晶、アン・トン・タッ
脚本：河瀬直美

映画「朝が来る」ネタバレ・あらすじ

映画「朝が来る」のネタバレを含んだあらすじを紹介します。

親子三人

都会のタワーマンションに暮らす栗原清和と佐都子夫妻には、幼稚園に通う一人息子・朝斗（がいます。

来年から小学生になる朝斗のため、今日はバスではなく親子三人で歩いて登園します。

佐都子が一人で家にいると無言電話がかかってきました。

その後、幼稚園から電話があり、朝斗が友達のそら君を遊具から突き落として怪我をさせたと言われます。

佐都子は幼稚園で先生方に話を聞きますが、朝斗本人はやってないと言います。

帰宅後、佐都子がそら君の母親に電話すると、相手は治療費と謝罪を求めてきました。

佐都子が戸惑っていると、相手は怒って電話を切ります。

子どもが欲しかった

翌日、マンションのロビーでそら君の母親に無視され、佐都子は謝るべきか悩みます。

夫の清和は、憔悴した佐都子を心配し、たいしたことないよと励まします。

以前、二人はなかなか子供ができず、病院で検査をしました。

清和が無精子症と判明し、子供を欲しがっていた夫の気持ちを思い、佐都子は涙ぐみます。

清和は佐都子を母親にしてあげられないことを気にして離婚を切り出しますが、佐都子はそれを受け入れませんでした。

二人は顕微授精を試みるため、毎月休みを合わせて北海道まで通いました。

養子縁組

あるとき、大雪のため飛行機が欠航になり、不妊治療に疲れた清和が泣きながら「もうやめよう」と言いました。

佐都子は「ふたりで一緒に生きていこう」と答えるのでした。

二人でテレビを見ていると、子供に恵まれない夫婦のドキュメンタリー番組が放送され、養子縁組について紹介されていました。

清和はそれをじっと見ています。

後日、家のパソコンの検索履歴から、清和が養子について調べていることを知った佐都子は思い切って本人に聞いてみました。

清和は、「執着しているわけじゃないし、佐都子のためというわけでもない。ただ、この家には親になれる人がいて、親を必要としている子供のために行動を起こしてもいいじゃないかと思っている」と言います。

ベビーバトン

二人はテレビで紹介されていた団体「ベビーバトン」の説明会に行きました。

代表の浅見は優しく落ち着いた声で、結婚して３年以上経っていること、どちらかは育児に専念すること、名前は決められるが性別は選べないなどの条件を説明します。

そして最も大切な約束は、その子供本人が理解できる年齢になったら養子である事実を伝えるというものでした。

実際にこの制度を利用して養子縁組をした家族が登場し、体験談を話しました。参加者たちは興味深く耳を傾けていました。

帰り道、清和は興奮気味に「今日来て良かった！」と笑顔を見せるのでした。

朝斗

ある日、浅見から栗原家に電話がかかってきます。

待ち望んでいた赤ちゃんが生まれたのです。

清和と佐都子は広島に向かい、「ベビーバトン」のある島へ船で渡り、ついに赤ちゃんと対面します。

「この子のお母さんに会ってみます？」という浅見の問いかけに驚きつつも、二人は会うことを決めました。

付き添われた若い女性に、佐都子は礼を述べ、「朝斗と名付けます」と伝えました。

女性は佐都子の手に手紙を握らせ、「ごめんなさい…お願いします」と涙ながらに別れを告げます。

現在の栗原家

朝斗はそら君に対し「ぼくが押したって言った方がいい？」と問い、佐都子は胸が締め付けられる思いをします。

しかし、そら君が真実を話し、誤解が解けたことを幼稚園から知らされた佐都子は安心します。

仲直りした朝斗がそら君と出かけた後、家の電話が鳴ります。

相手は「片倉ひかり」と名乗り、朝斗の実母でした。

彼女は子供を返すか、お金を要求し、さもなければ朝斗が養子であることを周囲にばらすと脅迫します。

佐都子は会って話し合おうと提案し、自宅に彼女を招きます。

清和を呼び戻し、二人で待つと、ボサボサの金髪に黄色のスカジャンを着た女が現れます。

彼女は片倉ひかりとは別人でした。

佐都子は女が朝斗の年齢を間違えていること、養子の事実は朝斗も周囲も知っているため脅迫は無意味であることを指摘します。

すると女は「あなたのできないことを私はした。私は産んだ」と苦し紛れに言います。

奈良県の山あいの町

中学三年生の片倉ひかりはバスケ部の男子・麻生巧と交際を始めます。

厳しい両親に育てられたひかりは、姉・美咲からスマホのパスワードを変更するよう忠告されます。

両親は勉強に励むように言い、スマホばかり触る娘たちを叱ります。

そんな中、ひかりと巧の仲は深まり、ついに巧の部屋で結ばれます。

「好き」と言うひかりの涙をぬぐい、巧はこんなに好きになった人はいないと言います。

そして2人はお揃いのミサンガを巻きました。

妊娠が発覚

ある日、体調不良のひかりが母に付き添われて病院に行くと、妊娠が発覚します。

中絶できない時期に達しており、母は取り乱します。

巧は泣いて謝るだけで走り去ります。

両親はひかりに特別養子縁組を使うことを決め、病気療養ということで学校を休んで寮に入り、出産後に戻って高校受験するよう命じます。

ひかりは反発しますが選択の余地はありませんでした。

誰の子かわからない

広島にやってきたひかりを浅見はやさしく受け入れ、島の一軒家で出産まで過ごすことになります。先輩のこのみと次第に打ち解け、仲良くなっていきます。

ある日、バーベキューで妊婦の一人が誕生日を迎え、ケーキを出してもらい感激します。

彼女は性風俗に身を落とし、望まぬ妊娠をした過去を持っていました。

このみもまた、誰の子かわからない赤ちゃんを宿していました。

広島のお母さん

朝斗は実母の記憶があるのか、「広島のお母さん」と呼ぶ実母に思いを馳せます。

佐都子と一緒に海を見ながら広島とつながっていると話します。

そこへ警察が訪れ、行方不明者の捜索で見せられた写真はあの黄色のスカジャンの女でした。

出産後、奈良に戻ったひかりは心が荒んでいました。

体裁を気にする親、世間知らずの姉…。

親戚の態度に苛立ち暴力を振るってしまったひかりに母は感情をぶつけ、家族の亀裂は決定的になります。

道で見かけた巧は何事もなかったような様子で、ひかりは声をかけることもできません。

居場所を失ったひかりは再び島へと向かいます。

元気で頑張って

浅見にひかりは「ここで働かせてほしい」と頼みますが、浅見はベビーバトンを終わりにすると告げます。

最後の妊婦が産気づき、浅見が病院に連れて行く間、ひかりが留守番をすることに。

片付け中の室内で赤ちゃんの記録ファイルを見つけ、自分の子供「朝斗」の情報を知ります。

戻ってきた浅見にひかりは質問します。

浅見は、ここから巣立った子やお母さんたちが自分の子供のように感じると語り、海を眺めながら「海が守ってくれてる感じしない？」と微笑みます。

そして「元気で頑張って」とひかりを励まします。

三人で幼稚園へ

その頃、ひかりは公衆電話から電話をかけています。

ひかりは朝斗が住む街で新聞配達をしており、新しい同僚ともかと同居生活を始めます。

ともかは仕事には身が入らず、帰りにひかりに化粧品をプレゼントします。

ひかりはともかに自分の境遇を告白し、二人は親しくなります。

翌日、ともかが無断欠勤し、借金取りがひかりを訪ねてきます。

ともかがひかりを保証人にして借金をしていたのです。

アパートに戻るとともかが倒れており、ひかりは彼女を部屋に入れます。

ともかは「お母さんみたい」と笑います。

バイバイ、ひかり

配達を終えたひかりが帰宅すると、ともかの姿はなく、「バイバイ、ひかり」というメモと少額のお金が残されていました。

ひかりはともかの借金を返済しますが、借金取りは「バカだからじゃね？」と冷たく返します。

ひかりは栗原家に電話し、部屋を訪れます。

清和と佐都子と対峙したひかりは「片倉ひかり」だと名乗りますが、佐都子は手紙を取り出し、毎年朝斗に読んでいると伝えます。

ひかりは土下座して謝り、朝斗と会うか選択を迫られますが、結局会わずに去ります。

佐都子はひかりを探し、翌朝見つけます。

ひかりの背中に向かって「ごめんなさい。わかってあげられなくて」と謝ります。

すると「何でそんなに謝ってんの？」と朝斗の声がし、佐都子はひかりを「広島のお母さん」と紹介します。

劇中の歌「アサトヒカリ」が流れ、エンドクレジットが流れる中、朝斗の声が聞こえます。

「会いたかった」と。

映画「朝が来る」「なかったことにしないで」セリフの意味と考察・感想

「なかったことにしないで」というセリフは、登場人物の片倉ひかりが、特別養子縁組により自分の子供を手放さざるを得なかった過去を受け入れることを求める心の叫びです。

このセリフには、彼女の心の奥底にある深い悲しみと葛藤、そして母としての存在を無視しないでほしいという強い願いが込められています。

ひかりは思春期に未成年で妊娠し、社会的な偏見や家庭の事情から子供を育てることができませんでした。

彼女にとってその経験は、自分の一部であり、決して忘れることのできない大切なものでした。

そのため、「なかったことにしないで」という言葉は、彼女が過去を受け入れ、母親としての自分を認めることで、自己を再確認しようとする重要な訴えなのです。

考察

このセリフは映画全体のテーマとも密接に関係しています。『

朝が来る』は、養子縁組を通じて新しい家族を築くという希望と、それに伴う悲しみや苦悩を描いています。

ひかりのこの言葉は、過去の辛い経験をなかったことにせず、ありのまま受け入れることが重要であることを示唆しています。

ひかりの心情は、多くの観客にとって共感を呼ぶものでしょう。

誰しもが過去に辛い経験を持っているかもしれませんが、それを無かったことにするのではなく、それを認め、受け入れることで前に進む力が生まれるというメッセージが込められています。

また、このセリフは養子縁組に対する社会の視点を考えさせられるものでもあります。

養子縁組は、新しい希望を生む一方で、生みの親や育ての親、そして子供自身に深い感情の葛藤をもたらします。

ひかりの言葉は、この複雑な感情を理解し、尊重する必要性を強調しています。

感想

映画『朝が来る』の中でのひかりのセリフ「なかったことにしないで」は、非常に印象的で心に残るものでした。

この言葉は、ひかりが自分の過去を受け入れ、母親としての存在を認めるための重要な一歩を象徴しています。

映画全体を通じて描かれる親子の絆や養子縁組の問題は、深い感動と考えさせられるテーマでした。

特に、ひかりの心の葛藤と成長は、多くの観客にとって共感を呼ぶものであり、彼女が過去を受け入れる姿勢は、私たち自身が過去の辛い経験をどう扱うべきかを考えるきっかけとなりました。

「なかったことにしないで」という言葉は、私たちにとっても重要なメッセージです。

過去の辛い経験を無視するのではなく、それを受け入れることで自己を再発見し、前に進む力を得ることができるのです。

この映画は、そのことを強く教えてくれる素晴らしい作品でした。

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まとめ

今回の記事では、映画「朝が来る」ネタバレを解説しました。