映画「蛇にピアス」は、2008年|日本|20歳で芥川賞を受賞した金原ひとみの同名小説を、蜷川幸雄が映画化しました。
吉高由里子が19歳の少女の心の揺らめきを見事に体現し、バイオレンス描写でも物議を醸した問題作です。
そこで今回の記事では、映画「蛇にピアス」ネタバレ・あらすじ!考察や感想を紹介します。
それでは最後までお読みください(^▽^)/
映画「蛇にピアス」解説
蛇のように舌先が割れた“スプリット・タン”を持つ男・アマと出会った19歳のルイ。
アマの紹介で彫り師のシバとも知り合った彼女は、自らの舌にピアスを開け、背中には入れ墨を彫る。
痛みと快楽に身を委ねるルイだったが、どこか満たされぬ思いを抱え…。
キャスト
- ルイ:吉高由里子
- アマ:高良健吾
- シバ:ARATA
- マキ:あびる優
- ユリ:ソニン
スタッフ
- 監督:蜷川幸雄
- 原作:金原ひとみ
- 音楽:茂野雅道
映画「蛇にピアス」ネタバレ・あらすじ
映画「蛇にピアス」のネタバレを含んだあらすじを紹介します。
ルイとアマの出会い
19歳の少女ルイ(吉高由里子)は渋谷の街を彷徨い歩いていました。
ある日、彼女は偶然訪れたクラブで、赤髪のモヒカンに眉と唇のピアス、背中に龍の入れ墨、そして蛇のようなスプリット・タンを持つアマ(高良健吾)という男と出会います。
アマに「身体改造をしてみないか」と誘われたルイは、そのまま彼とのセックスに応じます。
身体改造
その後、アマの紹介でルイはアマの知り合いである彫り物師シバ(ARATA)の経営する怪しげな刺青店を訪れます。
ルイは舌にピアスを入れる際、痛みと共に何とも言えぬ恍惚を感じ、次第に身体改造の魅力に引き込まれていきます。
シバはスキンヘッドに全身入れ墨、ピアスをしており、他人が苦しむ姿に興奮を覚えるサディストです。
愛の証
ある日、ルイは友人のマキにアマを紹介し、三人で飲みに行くことになります。
帰り道に二人組のやくざ(小栗旬、藤原竜也)に絡まれ、アマは激しい喧嘩の末に相手を打ち負かします。
そして、やくざから二本の歯を抜き取り、それを“愛の証”としてルイに渡します。
肉体の欲望
ルイは次第にアマやシバと同様に自身にも入れ墨を入れたいという思いが強くなり、シバに頼んで背中一面にアマの龍とシバの麒麟を組み合わせた入れ墨を彫ることを決意します。
シバは入れ墨の代償としてルイに体を求め、二人は激しく肉体を求め合います。
ルイが数日前にアマが暴力を振るったやくざが死んだというニュースを知ります。
報復を恐れたルイは、アマの髪をアッシュに染めさせ、入れ墨を隠すため長袖を着るよう指示します。
入れ墨の完成
ルイはシバに対して、龍と麒麟の入れ墨に瞳を入れないように頼み、ついに背中に入れ墨を完成させます。
その間も、ルイはアマやシバとのセックスに耽り、舌のピアス穴を拡張し続けます。
しかし、入れ墨が完成した後、ルイは生きる意味を見失い、酒に溺れるようになります。
アマの惨殺
ある日、シバの店に警察から連絡があり、“龍の入れ墨を入れた赤毛の男”に関する情報提供を求められます。
これにより、アマは突然ルイの前から姿を消し、行方不明になります。
数日後、アマの惨殺された死体が発見されます。
死体には無数のタバコの痕跡があり、性器にはお香が差し込まれており、警察の調べでアマは何者かにレイプされたことが判明します。
ルイの決意
アマの死後、ルイは生きる気力を失い、シバと同棲するようになりますが、シバの家で事件現場で発見されたものと同じお香やタバコを見つけます。
その夜、ルイはアマからもらった二本の歯を砕いて飲み込み、アマの“愛の証”が自分の体の一部になったことを感じます。
そして、シバに龍と麒麟の瞳を彫り込んでもらい、舌のピアス穴を広げることをやめます。
スプリット・タンは完成せず、舌に穴が開いたまま水を飲み込んだルイは、自分の中に“川”ができたと感じていました。
映画「蛇にピアス」実話なの?
映画『蛇にピアス』は実話ではありません。
この映画は金原ひとみの同名小説を原作としています。
金原ひとみは2003年にこの小説を発表し、第130回芥川賞を受賞しました。
彼女は1983年生まれで、小説を発表した当時は20歳でした。
映画はこの小説を元に作られており、その生々しい内容やリアリティから実話と勘違いされることもありますが、フィクションです。
映画「蛇にピアス」アマの死因や犯人の考察
映画「蛇にピアス」アマの死因や犯人の考察していきます。
アマの死因
アマの遺体は、無数の殴打の痕とレイプされた形跡があり、非常に暴力的な死を遂げています。
これに基づき、死因は以下のように考えられます。
暴行死
アマの遺体には殴打の痕が多数あり、これが直接的な死因である可能性が高いです。
暴行による内出血や外傷が致命的だったと考えられます。
レイプの後の殺害
ルイが警察に「レイプされていたの?」と尋ねた際、警察が無言で頷いたことから、アマはレイプされた後にさらに暴行を受けて殺害されたと推測されます。
犯人の考察
アマを殺害した犯人について、いくつかの要素を考慮して以下のように推測できます。
シバの可能性
アマの遺体に押し付けられていたタバコの銘柄がシバの愛用していたものであること。
性器に挿されていたお香もシバが使っていたエクスタシーという銘柄であること。
シバが以前に同性愛を匂わせる発言をしていたことから、シバが犯人である可能性が高いです。
暴力団の可能性
アマが暴行したチンピラの横山が所属していた暴力団が、報復としてアマを殺害した可能性も考えられます。
しかし、シバに関連する証拠が多いため、この可能性は低いと見られます。
アマが殺された理由
シバがルイに対してサディスティックな欲求を満たす存在として強く惚れ込み、ルイを自分のものにするためにアマを排除しようとした可能性があります。
アマが行方不明になった直後にシバがルイにプロポーズしたことが、この説を裏付けています。
また、シバがアマに対しても強い愛情を抱いており、その愛情が歪んだ形で暴力や支配欲となり、最終的にアマを殺害するに至った可能性があります。
シバのサディスティックな性格がこれを後押ししています。
アマの死因は暴行によるものと考えられ、犯人はシバである可能性が非常に高いです。
シバがルイへの執着やアマへの歪んだ愛情から犯行に及んだと考えるのが最も自然です。
映画「蛇にピアス」感想
まず強烈に感じたのは、そのビジュアルと描写のインパクトです。
登場人物たちの外見や行動が、通常の日常生活から大きく逸脱しているため、観る者にとっては異世界に踏み込んだような感覚に襲われます。
特に、ルイが舌にピアスを入れるシーンや背中に大きな入れ墨を彫るシーンは、生々しい痛みと共に彼女の心の変化を鮮明に描き出しており、観ていて痛々しくも目が離せませんでした。
アマとの出会いによってルイが身体改造の世界に足を踏み入れ、その魅力に取り憑かれていく様子は、彼女の内面の不安や空虚感を象徴しているように感じました。
アマがルイに「身体改造をしてみないか」と誘う瞬間から、彼女の人生が大きく変わり始めるのですが、その変化があまりにも急で激しいため、観ている側としては彼女の決断に戸惑いを覚えつつも、次第にその心情に共感していきました。
アマとシバという二人の男性の存在が、ルイにとって大きな影響を与えるのは明白です。
アマの大胆さとシバのサディスティックな魅力が、彼女の中で相反する欲望と恐怖を掻き立て、それが物語全体の緊張感を高めています。
特にシバとの関係は、純粋な欲望だけでなく、痛みと快楽が入り混じった複雑な感情を伴っているため、観ている側もその緊張感に引き込まれました。
物語の終盤で明らかになるアマの死と、その背景に潜むシバの暗い欲望は、非常に衝撃的でした。
アマの死によってルイが感じる喪失感と絶望は、観る者にとっても非常に重いものであり、彼女の痛みが直接伝わってきます。
同時に、シバの存在がルイにとってどれほど危険であるかが浮き彫りになり、物語が一気にクライマックスに向かう緊迫感がありました。
まとめ
今回の記事では、映画「蛇にピアス」ネタバレを解説しました。
映画「蛇にピアス」は、2008年|日本|20歳で芥川賞を受賞した金原ひとみの同名小説を、蜷川幸雄が映画化しました。
吉高由里子が19歳の少女の心の揺らめきを見事に体現し、バイオレンス描写でも物議を醸した問題作です。
それでは最後までお読みいただきありがとうございました^^
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