映画「ある男」ネタバレ・あらすじ!ラストシーンの意味を考察

映画「ある男」は、芥川賞作家・平野啓一郎の原作小説を、妻夫木聡、安藤サクラ、窪田正孝の共演で映画化。

“ある男”はなぜ別人として生きたのか、その真実に心を揺さぶられる。

そこで今回の記事では、映画「ある男」ネタバレ・あらすじ!ラストシーンの意味を考察していきます。

それでは最後までお読みください(^▽^)/

目次

映画「ある男」解説

弁護士の城戸は、夫・大祐を事故で亡くした里枝から、夫の身元調査という奇妙な相談を受ける。

大祐の死後、彼が名前もわからない別人だったことが判明したという。

“ある男”の正体を追う城戸は、別人として生きた男への複雑な思いを抱き始めるが…。

キャスト

  • 城戸章良:妻夫木聡
  • 谷口里枝:安藤サクラ
  • 谷口大祐/X(ある男):窪田正孝
  • 後藤美涼:清野菜名
  • 谷口恭一:眞島秀和
  • 中北:小籔千豊
  • 人:坂元愛登
  • 武本初江:山口美也子
  • 伊東:きたろう
  • 柳沢:カトウシンスケ
  • 茜:河合優実
  • 小菅:でんでん
  • 谷口大祐(本物):仲野太賀
  • 城戸香織:真木よう子
  • 小見浦憲男:柄本明

スタッフ

  • 監督:石川慶
  • 原作:平野啓一郎
  • 音楽:Cicada
  • 脚本:向井康介

映画「ある男」ネタバレ・あらすじ

映画「ある男」のネタバレを含んだあらすじを紹介します。

友達になってくれないか

離婚して宮崎県の実家の文房具店に戻ってきた武本里枝。

ある日、見知らぬ男性がスケッチブックを買いにやってきました。

その男性は谷口大祐と名乗り、林業の会社に勤めているという。

以来、大祐は度々画材を買いに店を訪れるようになり、ある時は自身のスケッチブックに描いた絵を里枝に見せました。

彼は「友達になってくれないか」と提案し、里枝は買い物はしなくていいからいつでも絵を見に来て欲しいと答えました。

やがてふたりは親密になり、里枝と彼女の息子である悠人と3人でうなぎ屋に出かけました。

そこで里枝は、自身の過去や離婚の原因である弟の病死について話します。

大祐は里枝の手を取り、涙ながらに彼女の弟の名前を尋ねます。

「りょうくん」と口にした大祐の言葉に、里枝は感激しました。

仕事中の事故で

大祐との関係が進展し、里枝と大祐は結婚し、新たな家族ができました。

悠人の妹も生まれ、中学生の悠人は大祐を慕い、よく大祐の職場で過ごしています。

しかし、ある日、仕事中の事故で大祐が亡くなってしまいます。

一周忌の法要に、大祐の兄である恭一がやってきます。

里枝に連絡を入れることが適切かどうか迷った恭一は、仲が悪かったことを匂わせます。

しかし、仏壇で遺影を見た恭一は、その人物が大祐ではないと主張し、里枝と彼は言い争います。

弁護士の城戸

宮崎に到着した弁護士の城戸は、武本里枝に死亡届を取り消すよう指示し、DNA鑑定に必要な爪やヒゲなどの証拠を持ち帰ります。

城戸は横浜のマンションで妻の香織と息子の颯太と一緒に生活しています。

両親は在日三世であり、城戸を気にかけ、気にしないように振る舞っています。

香織は父の援助で一戸建てに引っ越すことを楽しみにしていますが、城戸はそうした計画に乗り気ではありません。

苗字

城戸は大祐の実家である群馬の温泉旅館を訪れます。

恭一は、大祐が宮崎に行く前は大阪に住んでいたことを知っており、本物の大祐が偽物に殺された可能性を疑っています。

次に城戸は大祐の元恋人である後藤美涼を訪ねます。

彼女は最後に会ったのは大祐の父親の葬儀だったと言い、今でも彼を愛していることを涙ながらに語ります。

城戸は里枝に、大祐が本物ではないことが証明されたと報告します。

しかし、里枝の息子である悠人から、なぜお墓をつくらないのかと問い詰められ、里枝は事実を打ち明けます。

しかし、苗字の変更に神経質な悠人は不機嫌になります。

「曾根崎義彦」

城戸は同僚の中北から戸籍交換のことを聞き、その仲介人である小見浦憲男が服役している大阪刑務所を訪ねます。

しかし、小見浦はすぐに城戸が在日であることを指摘し、関係のない話に終始し、面会を打ち切ってしまいます。

後日、小見浦から届いた絵ハガキには、城戸をバカにする言葉と「谷口大祐」「曾根崎義彦」というふたつの名前が記されています。

城戸たちは死刑囚の描いた絵画の展示会を開催しています。

そこで行われる死刑反対に関する講演会に、城戸のことが気になりインスタグラムをチェックしていた美涼が来ています。

彼女は城戸に、大祐の偽アカウントをつくっておびき出すことを提案します。

作品をみていた城戸は、宮崎で見た里枝の夫の描いた絵と似た絵を見つけます。

その絵は小林謙吉という人物が描いたもので、プログラムに掲載されたその顔は里枝の夫と瓜二つです。

そして謙吉には息子がいて、名前は原誠だということが判明します。

再び小見浦を訪ねた城戸は、「曾根崎義彦」についての情報を求めますが、はぐらかされてしまいます。

<回想>

小林誠少年は、近所の友だちの家を訪れます。

しかし、その家からは自分の父親が血だらけで包丁を持って出てきました。家の中では友だちとその両親が無残な姿で転がっていました。

原誠が所属していたボクシングジムを訪れた城戸は、誠が新人王を目前にしてやめてしまったことを知ります。

トレーナーの柳沢によれば、そのころ誠が路上に転がり泣いたことがあったそうで、その後ビルから転落してケガをしたといいます。

誠に期待していた会長の小菅はそれ以降鬱になってしまったそうで、いまも具合が悪そうです。

城戸が自殺だったのかと聞かれたとき、柳沢はほっとしたような表情を浮かべました。

城戸は妻の香織に、仕事にのめり込みすぎじゃないかと指摘されます。

出張が多いので、香織は浮気を疑っているようです。

城戸の事務所では一連の調査報告が行われ、里枝と恭一が顔を合わせます。

弟や里枝を侮辱した恭一に対して、めずらしく城戸が怒りをあらわにします。

この町で出会い、愛し合い

宮崎に帰った里枝は、苗字はもとに戻さなければならないと悠人に説明します。

悠人は、「寂しいね」と言って泣き、義理の父が大好きだった息子を里枝はやさしく抱きしめました。

城戸はSonezakiYoshihikoからの警告メッセージを受け、美涼とともに会いに行くことに決めます。

待ち合わせは名古屋の喫茶店。

店内で美涼が本物の谷口大祐と見つめ合う姿を見届けた城戸は、立ち去ります。

その後、城戸は宮崎へ行き、誠が亡くなった場所を訪れます。

里枝に報告し、「ここで過ごした3年数ヶ月が彼にとっての人生のすべて。初めて幸せだったと思います」と伝えます。

里枝は真実を知る必要はなかったと答え、「この町で出会い、愛し合い、いっしょに暮らし、子どもが生まれた。それは事実だから…」と語ります。

里枝が悠人に報告書を渡すと、悠人は自分が父親にしてほしかったことをぼくにしてた、だからあんなにやさしかったんだと答えます。

は「それだけじゃない。やっぱり悠人のこと、好きだったと思うよ」と告げます。

そして悠人はいずれ自分から妹に伝えると約束し、里枝は息子の成長を喜びます。

帰り道、城戸は誠の姿を見たような気がし、彼は山に向かって消えました。

《複製禁止》

のんびりした城戸は、自宅で息子の颯太と遊んでいます。

香織が帰ってきて、戸建ての話は断ったことを話します。

休日に家族で出かけた城戸は、レストランで座っています。

香織がトイレに行くと、彼女のスマホに男性からのハートマークのメッセージが届いています。

城戸は気づきますが、見なかったことにします。

バーでウィスキーを飲んでいる城戸は、別の客に子供のことを尋ねられます。

そして、老舗の温泉旅館の二男坊という別人になりきり話し始めます。

帰り際、相手に名刺を出して、笑顔で応じます。

壁に飾られた《複製禁止》(ルネ・マグリット作)の絵には、城戸の後ろ姿も重なっています。

映画「ある男」ラストシーンの意味を考察

ラストシーンでは、城戸が壁に掛けられた《複製禁止》という絵の前に立っています。

この絵は、ルネ・マグリットによって描かれたもので、非常に有名な作品です。

この絵の意味を考えると、いくつかの解釈ができます。

まず、《複製禁止》というタイトルから、本物と模倣、あるいは現実と虚構の間にある境界を考えさせられます。

城戸の人生や人格にも同様の境界が存在し、彼がどのようにそれらを把握し、扱っていくのかが問われることがあります。

彼の人生や行動は、他者の期待や社会のルールに縛られることなく、自己の規範に従っているのかもしれません。

さらに、《複製禁止》の絵の中には、人物の後ろ姿が重なって描かれています。

これは、城戸が自己の中に複数の側面やアイデンティティを持っていることを示唆しています。

彼の行動や思考には、さまざまな要素や影響が絡み合っており、それらが彼の人格や行動に影響を与えていることを意味しているかもしれません。

最後に、城戸が絵の前に立つ姿は、彼の内面の葛藤や混乱を反映しているかもしれません。

彼は自己の中にある相反する感情や欲求に直面しており、それらを整理し、受け入れるために絵の前に立つのかもしれません。

このように、《複製禁止》の絵は城戸の内面や人生についての意味深い象徴として描かれており、彼の複雑な人間性や人生の葛藤を表現しています。

映画「ある男」感想

「ある男」を鑑賞して感じたのは、人間のアイデンティティと過去の清算というテーマの重厚さです。

この映画は、ただのサスペンスではなく、観客に「もし自分がこの立場だったら?」と深く考えさせます。

特に、主人公の裕子が夫の過去と向き合うシーンは圧巻で、感情移入せずにはいられませんでした。

また、映像の美しさも特筆すべき点です。

都会の喧騒から離れた田舎の風景や、日常の何気ない瞬間を切り取る撮影手法は、映画全体に詩的な雰囲気を与えています。

そして、登場人物の台詞回しや、細かな表情の変化など、役者たちの演技力が非常に高く、物語の説得力を高めています。


映画「ある男」面白いポイント

緻密なストーリー展開

本作の魅力の一つは、その緻密に構築されたストーリーです。
観客が物語の全貌をつかむのはラストシーンに近づいてからで、それまでの伏線の数々が見事に回収される快感があります。

キャラクターの奥深さ

夫の謎めいた人物像だけでなく、主人公裕子の成長や葛藤も非常にリアルに描かれています。
一人の女性が愛と真実の間で揺れ動く様子に、共感を覚える人も多いでしょう。

映像美と音楽

日本の四季や日常風景を映し出す映像美が素晴らしく、そこに重なる音楽が映画の情緒をさらに引き立てます。特にピアノの旋律が切ない場面を彩る演出は印象的です。

観客への問いかけ

物語の結末は観客の解釈次第で大きく変わります。「真実を知ることは必ずしも幸せなのか?」という問いを突きつける内容は非常に哲学的です。

映画「ある男」口コミ

ただのミステリーかと思って観たら、最後に思わず涙してしまいました。主人公の葛藤と夫の過去に隠された真実が、胸を締めつけるような感動をもたらします。

物語も素晴らしいですが、映像がとにかく綺麗でした。特に田舎の風景を映したシーンが印象的で、まるで絵画を見ているようでした。

正直、ラストがスッキリしない部分もありましたが、それがこの映画の魅力かもしれません。観終わった後も考え続ける映画です。

夫婦の愛をテーマにしている部分が良かったです。特に夫がどんな過去を抱えていても、妻がそれを受け入れる姿勢に心を打たれました。

感動とミステリーが見事に融合した映画です。観ている間、何度も驚かされ、そして泣きました。ぜひおすすめしたい一作です。

まとめ


今回の記事では、映画「ある男」」ネタバレを解説しました。

映画「ある男」は、芥川賞作家・平野啓一郎の原作小説を、妻夫木聡、安藤サクラ、窪田正孝の共演で映画化。

“ある男”はなぜ別人として生きたのか、その真実に心を揺さぶられる。

それでは最後までお読みいただきありがとうございました^^

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