映画「共喰い」は、人間の闇を描き、芥川賞に輝いた同名小説を監督・青山真治、脚本・荒井晴彦で映画化!
特殊な性癖を持つ父親の血を継ぐ息子を菅田将暉が演じている。
恐怖、葛藤、そして暴力的な性欲求。危険な因子を内包した青年の一挙手一投足から片時も目が離せない。
そこで今回の記事では、映画「共喰い」ネタバレ・あらすじ!ラストの意味と伏線考察していきます。
それでは最後までお読みください(^▽^)/
映画「共喰い」解説
昭和63年夏。
高校2年生の遠馬は父親が性交の際に愛人・琴子に暴力をふるうことを忌み嫌っていた。
また、遠馬の母親・仁子は川を挟んだ向こう側で魚屋を営んでいた。
ある日、遠馬は幼なじみの千種を押し倒し、嫌がる彼女の首を締めてしまう。
キャスト
- 篠垣遠馬:菅田将暉
- 千種:木下美咲
- 琴子:篠原友希子
- 刑事:岸部一徳
- 円:光石研
- 仁子:田中裕子
スタッフ
- 監督:青山真治
- 原作:田中慎弥
映画「共喰い」ネタバレ・あらすじ
映画「共喰い」のネタバレを含んだあらすじを紹介します。
昭和63年の夏
山口県下関市の川沿いに位置する小さな町で、高校生の篠垣遠馬は父・円とその愛人・琴子(と共に生活していた。
母・仁子は太平洋戦争の空襲で左手を失い、両親が亡くなった後は川辺で暮らしていたが、ある夏祭りの日に年下の円と出会い、そのまま結婚へ至った。
しかし、円は女性関係が乱れ、DVを振るう男だった。
仁子は遠馬を出産し、第2子を堕ろした後、篠垣家を去った。
そして琴子もまた、身体中にDVの跡が残っていた。
遠馬が17歳の誕生日
遠馬は恋人である会田千種と神社の中で関係を持った。
遠馬が家に戻ると、琴子がケーキを用意して彼の17歳の誕生日を祝ってくれた。
その夜、遠馬は目を覚ますと、別室で円と琴子が行為をしているのを目撃した。
円は琴子に暴力を振るい、首を絞めるなどのDV行為を繰り返していた。
しかし、琴子は円から離れることができず、遠馬もまた、自分が父と同じような欲情を抱くことに苦悩していた。
その後も遠馬は千種と関係を持つが、彼女が痛がるたびに不安を感じ、自分が父のように暴力を振るうのではないかと恐れた。
妊娠
ある日、夏休みが近づいた頃、遠馬は円と鰻釣りに行く予定だったが、父が不在であったため一人で仁子と釣りに行くことになった。
仁子の義手がボロボロになっていることを知り、遠馬は将来自分が魚屋を継ぐことを考えるようになる。
琴子が自分との間に円の子を身ごもっていることを明かすと、遠馬は動揺し、千種との関係で避妊具を使わないことを要求するが、つい彼女の首を絞めそうになってしまう。
千種は遠馬を振り払い、去っていく。
遠馬は仁子に鰻を受け取りに行き、琴子の妊娠を伝えると、仁子は「あの男(円)の血を引くのはあんただけで十分だ」と嘆く。
遠馬は千種に謝るが、千種は聞き入れず、仁子は彼に覚悟を決めるよう促す。
親を侮辱してはいけない
遠馬が家に帰ると、琴子は円に内緒でここを出て行こうとしていた。
遠馬が円を非難すると、琴子は親を侮辱してはいけないと諭った。
夏祭りの直前、千種が遠馬の家を訪れるが、遠馬は円の血を引く自分を恐れて彼女を追い返そうとした。
千種は祭りの日に神社で待つと告げ、去って行った。
夏祭り当日、祭りは台風で中止になり、遠馬は琴子が去ったことを聞いて円の元へと駆け出した。
その後
近所の子供たちが遠馬の家に駆け込んできた。
遠馬は千種の言葉を思い出し、急いで神社へ向かうと、そこで千種が円に襲われているのを発見した。
遠馬は千種を仁子の魚屋に匿い、仁子は遠馬に千種を守るよう言い渡し、台所から包丁を取り出して円を河原まで追い詰め、刺殺した。
やがて、仁子は警察に逮捕された。
面会に訪れた遠馬の前で、仁子は穏やかな表情を浮かべた。
仁子は新聞で読んだ昭和天皇の重体の話を持ち出し、自らの過去を戦争で狂わされたと述べ、天皇に「恩赦」を与えることで決着をつけ、自分の判決が出るまで彼が生きていてくれることを望んだ。
遠馬はフェリーに乗り、琴子の元を訪れた。
その夜、ベッドに横たわる遠馬の前に、琴子が服を脱ぎ、彼を誘ってきた。
遠馬は赤ん坊の存在を知り、その胎内には円の子供ではないと聞かされ、恐れを感じた。
仁子の魚屋は千種が切り盛りしていた。
ある夜、遠馬は千種の首に手をかけようとするが、千種は遠馬にその意図を問いただし、彼の手を縛り上げ、積極的に行為を始める。
そして、昭和64年1月7日、昭和時代は幕を閉じたのだった。
映画「共喰い」ラストの意味と伏線考察
この物語のラストでは、主要な登場人物たちがそれぞれの運命に向かって動きます。
仁子は遠馬に、生きる意味や過去の経験に基づいた価値観を示しました。
彼女の行動は、家族や社会とのつながり、そして愛する人々を守ろうとする母親の情熱を反映しています。
また、遠馬は自らの過ちや苦悩から抜け出し、自分の意志で千種を守るために行動します。
彼の成長と決断は、物語全体の展開において重要な役割を果たします。
このラストには、家族の絆や愛情、そして正義の勝利というテーマが絡み合っています。
そして、それぞれの選択や行動が、彼らの人生において大きな意味を持つことを示唆しています。
また、物語の結末は読者に深い感動や考えさせる要素を提供し、物語全体を締めくくる素晴らしいフィナーレとなっています。
個人的には、このラストは感動的で力強いものであり、登場人物たちの成長や決断に共感を覚えます。
特に、仁子の覚悟と母性愛、そして遠馬の勇気と決意に心打たれました。
物語全体を通して描かれる家族の絆や愛情の大切さが、心に深く響く素晴らしい作品だと感じました。
映画「共喰い」感想
映画「共喰い」は、タイトルからすでに強烈なインパクトを与える作品です。
単なる娯楽映画とは一線を画し、人間の内面に潜む暴力性や葛藤を容赦なく描き出します。
この作品を観終えた後に感じたのは、「自分とは何か」という根源的な問いでした。
物語は地方都市を舞台に、ある一家の暗い秘密を軸に展開されます。
主人公が父親から受け継ぐ暴力の連鎖や、家庭環境の呪縛に苦しみながらも、そこから抜け出そうとする姿は非常に生々しく、観る者を圧倒します。
特に、主人公と恋人の関係性が物語における救済の一筋の光のように描かれており、絶望的な状況の中での希望が印象的でした。
演出面では、自然光を多用した撮影やリアルな方言が、映画の生々しさを際立たせています。
また、暴力のシーンが決して過剰にならず、あくまで現実的であることが作品全体の説得力を高めています。
これにより、観客はキャラクターの痛みや苦しみを自分のことのように感じることができるのです。
本作の評価をさらに高めているのは、演技陣の力です。
特に主人公役の俳優は、その表情や台詞回しだけで観客を彼の心の中に引き込む力を持っています。
彼の無言の表情に漂う絶望感や葛藤は、映画全体のトーンを支える重要な要素となっています。
総じて、「共喰い」は娯楽以上に考えさせられる映画です。
人間の内なる闇や暴力を容赦なく描き出しつつ、希望や救済の可能性を示すこの映画は、一度観たら忘れられない体験を提供します。
心理的にも肉体的にも重厚感があるため、観る前に心の準備が必要かもしれませんが、それでも挑戦する価値は十分にあります。
映画「共喰い」面白いポイント
1. 家族間の緊張感が描く真実
物語の中核は、主人公と父親の間の緊張感にあります。父親の暴力的な性格は、ただ恐怖をもたらすだけでなく、息子としてのアイデンティティの崩壊をも描き出します。
その関係性の描写が非常にリアルで、観客は家族という逃げられない関係の中で生まれる悲劇に引き込まれます。
2. 恋愛がもたらす救済の可能性
主人公が恋人と過ごすひとときは、この映画の中で唯一の安らぎの瞬間です。
荒れた家庭環境の中で育った彼が、純粋な恋愛を通じて自身の過去を乗り越えようとする姿に、観客は感情移入せずにはいられません。
このシーンの穏やかな雰囲気が、映画全体の暗さに対する重要なコントラストを生んでいます。
3. 暴力の連鎖を断ち切るテーマ
映画のテーマの一つは「暴力の連鎖をどう断ち切るか」です。
父親から受け継いだ暴力性に苦しむ主人公が、自分の人生を切り開くために何を犠牲にし、何を得るのか。
この問いに対する彼の答えは、観客それぞれに異なる解釈を促します。
4. 細部までこだわった地方の風景
舞台となる地方都市の風景描写が、この映画を特別なものにしています。
河川敷や古い家屋の中で繰り広げられる出来事は、どこか懐かしさと共に閉塞感を感じさせます。
この地方特有の空気感が、物語のリアリティを一層高めています。
5. 結末に込められた余韻
ラストシーンは、希望とも絶望とも取れる曖昧さを持っています。
この曖昧さこそが映画「共喰い」の最大の魅力です。
観客はエンドロールが流れる中でも主人公の行く末を想像し続け、その余韻に浸ることになります。
映画「共喰い」口コミ
初めて観たとき、正直言って気持ちがズシリと重くなりました。でも、これがこの映画の魅力なんだと思います。暴力や家族の問題って目を背けがちだけど、この映画は正面から向き合っています。終わった後も考え続けてしまう作品でした。
地元に似た風景がたくさん出てきて、まるで自分がその中にいるようでした。登場人物たちの言動がリアルすぎて、怖いほど共感できました。特に主人公の父親との関係には胸が締め付けられました。
テーマは暗いけど、主人公が恋人と過ごす場面には救われました。あのシーンがなければ、この映画を最後まで観るのは辛かったかも。それでも、ラストは考えさせられる余韻を残してくれます。
主人公を演じた俳優の演技がとにかくすごい!セリフの少ないシーンでも、表情だけで感情が伝わってきました。観ている間中、彼の苦悩が自分にも乗り移ったような気がしました。
この映画を観て、自分の家庭を思い出しました。私自身、親との関係に悩んだ時期があったので、主人公の気持ちが痛いほどわかります。暗い話だけど、どこか救いがあるように感じました。
まとめ
今回の記事では、映画「共喰い」ネタバレを解説しました。
映画「共喰い」は、人間の闇を描き、芥川賞に輝いた同名小説を監督・青山真治、脚本・荒井晴彦で映画化!
特殊な性癖を持つ父親の血を継ぐ息子を菅田将暉が演じている。
恐怖、葛藤、そして暴力的な性欲求。危険な因子を内包した青年の一挙手一投足から片時も目が離せない。
それでは最後までお読みいただきありがとうございました^^
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