映画「ロストケア」は、葉真中顕の日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作を前田哲監督が映画化。
初共演の松山ケンイチと長澤まさみが、互いの正義を懸けた緊迫のバトルを入魂の演技で繰り広げています(^▽^)/
そこで今回の記事では、映画「ロストケア」ネタバレ・あらすじ!ラストの意味と伏線について考察していきます。
それでは最後までお読みください(^▽^)/
映画「ロストケア」解説
早朝の民家で老人と訪問介護センターの所長の死体が発見された。
捜査線上にセンターで働く斯波宗典が浮かぶが、彼は介護家族に慕われる献身的な介護士だった。
検事の大友秀美は、斯波が働き始めてからの自宅での死者が40人を超えることを突き止め…。
キャスト
- 斯波宗典:松山ケンイチ
- 大友秀美:長澤まさみ
- 椎名幸太:鈴鹿央士
- 羽村洋子:坂井真紀
- 梅田美絵:戸田菜穂
- 猪口真理子:峯村リエ
- 足立由紀:加藤菜津
- 春山登:やす(ずん)
- 柊誠一郎:岩谷健司
- 団元晴:井上肇
- 川内タエ:綾戸智恵
- 沢登保志:梶原善
- 大友加代:藤田弓子
- 斯波正作:柄本明
スタッフ
- 監督:前田哲
- 原作:葉真中顕
- 脚本:龍居由佳里、前田哲
映画「ロストケア」ネタバレ・あらすじ

映画「ロストケア」のネタバレを含んだあらすじを紹介します。
八賀ケアセンター
八賀ケアセンターのスタッフ、斯波宗典と猪口真理子、そして新人の足立由紀は、利用者の自宅に入ります。
認知症の患者である梅田の世話をしている間、別の場所に住む娘の美絵が急いでやってきました。
美絵は夜は夫の焼き鳥屋を手伝い、昼は父親の介護をしながら、三人の子供を育てる忙しい生活を送っています。
斯波は梅田家を出ると、利用者の老人が徘徊しているのを目撃し、彼を家に送ります。
足立は斯波を尊敬しています。
斯波が利用者の通夜に向かう際、猪口と足立も同行します。
羽村洋子は亡くなった母と同居していました。
そして、離婚後に一人で幼い娘を育てながら介護をしていたのです。
斯波は彼女の苦労を理解します。
利用者の死亡が県内平均よりも多い
検事の大友秀美は、高級老人ホームに入居した母を一か月ぶりに訪れます。
しかし、母との会話は微妙にかみ合いません。
翌朝、美絵が実家に行くと、八賀ケアセンターのセンター長である団の死体が発見されます。
そして、父親も亡くなっていました。
団は利用者の自宅の鍵を大量に持っており、窃盗目的で梅田家に侵入し、階段から転落して死亡したと推測されます。
しかし、屋内で見つかった注射器の存在には説明がつきません。
大友は斯波が現場にいたことを防犯カメラの映像から知り、取り調べを開始します。
斯波の殺風景な部屋を訪れた検察事務官の椎名は、3年にわたる介護ノートを発見しました。
彼はケアセンター八賀での利用者の死亡が県内平均よりも多いことに気づき、大友は斯波の介護ノートを調査し始めます。
センター長の団
調査の結果、死亡した利用者の死亡推定時刻が斯波の休日に集中していることが判明します。
大友は上司の柊に大量殺人の立件を報告し、県警の沢登から盗聴器を受け取り、41人の被害者の写真を並べて斯波を尋問します。
意外にも、斯波は容易に殺人を認めます。
彼の理由は、介護が限界に達した家族を救う必要があったからだと述べます。
斯波は盗聴器を使って家の内部を監視し、被害者が孤独な時間を狙って殺害していたと説明します。
梅田の家で彼を毒殺した斯波は、侵入者が2階に上がったところを目撃しました。
センター長の団が盗みを働いているのを発見した斯波は、彼を問い詰めますが反撃され、取っ組み合いの末、団が階段から落下して死亡したと主張します。
斯波は殺害に使った注射器を落としたことに気づかず、その場を去りました。
もう元の世界には戻れなくなる
ケアセンター八賀では、斯波が犯人だと知り、動揺した足立が錯乱して暴れ出します。
猪口は彼女をなぐさめながら、おそらく彼女は仕事を辞めてしまうだろうと予測していました。
大友は、斯波が自ら42人を殺したと言った言葉について考え込んでいました。
団の死は偶発的なものであるとしても、残る一人の被害者は誰なのか?その手がかりを求めて、斯波の介護士になる前の経歴を調査し始めます。
印刷会社を辞めてから、彼には3年4か月の空白期間がありました。
その間、彼は脳梗塞の後遺症でひとりでは生活できなくなった父と共に生活し介護をしていました。
アルバイトをしていたものの、父の認知症が進行し、彼をひとりにできない状況になり、生活は困窮していきました。
「生活保護も受けられず、この社会には抜けられない穴がある。その穴に落ちたら、もう元の世界には戻れなくなる」と斯波は冷静に語ります。
救うべく殺人を犯していた
数日後、斯波は注射器にタバコから抽出したニコチンを入れ、父親に注射して殺害し、警察に通報しました。
検死の結果、心不全として処理されましたが、斯波はこの犯罪が未解決のままであったことが、後の大量殺人への動機となったと述べます。
介護士として働き始めた斯波は、疲弊した家族をたくさん目にしました。
自分がかつて救ってほしかったように、彼らを救うべく密かに殺人を続けてきたのです。
しかし、人の命を勝手に奪うことは正しくない、と大友は指摘します。
しかし、彼女は最近、音信普通だった父親が孤独死したアパートを訪れたばかりで、斯波の主張が正しいのではないかという考えが頭に浮かびます。
そのような彼女に対し、斯波は「あなたも私を死刑にしようとしているのですね」と言い、大友は自分の信念が揺らぐのを感じました。
大友と椎名は被害者の家族にも話を聞きます。
梅田美絵は斯波に死刑を望みますが、母親を殺された羽村洋子は、自分も母も彼に助けられたと言います。
誰も迷惑をかけない人はいない
ケアセンター八賀では、猪口が団、斯波、そして足立のネームプレートを外していました。
介護士を辞めた足立は風俗の仕事をはじめ、斯波の事件にも無関心のようでした。
羽村洋子は春山という男性と再婚を決意しました。
介護の経験から彼女は再び同じ苦しみを味わうのではないかと心配する春山に対し、「誰も迷惑をかけない人はいない。私も迷惑をかけると思います」と微笑みました。
お前が息子であり、幸せだった
結審後、大友は斯波との面会を希望しました。
そして、自らの親について話し、斯波を断頭台に送る一方で、その考えを完全に否定できない自分を認めました。
そんな彼女に斯波は、父親を殺した経緯を語り始めます。
認知症になっても尊厳を持つ人間としての父を、苦しむ姿から解放するため、斯波は彼を殺害することを決意しました。
しかし、実際に行動に移そうとした際、父は目の前の息子が誰かわかっていない状態でした。
苦しんだ後、父は息絶えました。部屋には、彼が不自由な手で一生懸命に折ったと思われる鶴が残されていました。
その折り鶴を開くと、つたない文字で、「お前が息子であり、幸せだった」という感謝の言葉が書かれており、それを読んだ斯波は涙するのでした。
映画「ロストケア」ラストの意味と伏線について考察

斯波の父親が不自由な手で折った鶴とその中に書かれた感謝の言葉は、彼が認知症になってもなお、息子である斯波を愛し、彼が幸せであったことを示しています。
これは父と息子の絆や家族の絆を象徴しており、物語の中で斯波が自らの行動や信念を見つめ直すきっかけとなります。
この場面はまた、斯波の成長と葛藤を示しています。
彼は父を殺すことを決意しましたが、その決断が実行される直前に父が誰かを認識できない状態にあることを目の当たりにし、彼の心情に変化が生じます。
父の鶴とその中の言葉は、斯波にとっての救済とは異なる形で、父の愛情と感謝を示しています。
この瞬間で、斯波は自らの行動や信念を再評価し、自身の人間性や倫理観に向き合うことになります。
伏線としては、斯波の介護士としての経験や、彼の父親との関係が重要な役割を果たしています。
物語の途中で、斯波が介護の過程で疲弊し、家族や患者との関係に苦悩する描写がありました。
その結果、彼は殺人に至る決断を下すことになります。
しかし、父の鶴とその中の言葉が彼の行動に影響を与え、彼の心情に変化をもたらします。
これは、彼の行動が家族や愛情に基づいていたことを示し、彼の人間性や倫理観に深い影響を与えることになります。
映画「ロストケア」感想
映画「ロストケア」は、現代社会の闇に鋭く切り込む骨太な社会派ドラマです。
この作品は、医療や介護の現場に潜む問題を描きながら、観る者に人間の尊厳や生きる意味を問いかけてきます。
主演の演技力は圧倒的で、特に主人公が抱える葛藤や罪悪感が痛いほど伝わってきます。
映画の最大の魅力は、その複雑なストーリーとキャラクターの心理描写にあります。
物語は単なる事件の解明では終わらず、加害者と被害者の境界線を揺さぶります。
観客が「正義とは何か?」と考えさせられる瞬間がいくつも用意されています。
映像美も特筆すべきポイントです。冷たい色調と静寂が続くシーンは、物語の緊張感をさらに高め、観客を引き込む力を持っています。音楽も効果的に使用され、緊迫感や悲哀を見事に表現しています。
「ロストケア」は、娯楽性とメッセージ性を兼ね備えた傑作です。
この映画を観ることで、私たちは日常では目を背けがちな問題について考える貴重な機会を得られるでしょう。
映画「ロストケア」面白いポイント
1. 主人公の二面性が織りなす緊張感
主人公は一見、心優しい人物に見えますが、その裏には深い闇があります。
このギャップが物語全体を通して緊張感を生み出し、観客の心を掴んで離しません。
特にクライマックスでは、この二面性が衝突する場面が見どころです。
2. 社会問題への鋭い視点
映画は介護の現場が抱える過酷な現実を赤裸々に描いています。
登場人物たちの苦悩を通じて、観客に「自分ならどうするか」と問いかけます。
社会的なテーマを深く掘り下げながらも、説教臭さがなく、エンターテインメント性を損なわない点が秀逸です。
3. 感情を揺さぶる演出
映画の随所に散りばめられた感動的なシーンが、観客の感情を揺さぶります。
特に主人公が過去を振り返る場面や、重要な決断を下す瞬間は、涙なしでは観られません。
音楽や映像の演出がこれをさらに引き立てています。
4. 予測不可能なストーリー展開
物語は次々と予想を裏切る展開が用意されています。
一見すると解決しそうな問題が新たな疑問を呼び起こし、最後まで目が離せません。
ミステリー要素とヒューマンドラマが絶妙に絡み合った脚本は、映画ファンならずとも楽しめます。
5. 共感を誘うキャラクターたち
登場人物たちはどれもリアルで、彼らの抱える悩みや苦しみが観客の心に響きます。
特に主人公と対峙するキャラクターの心の揺れ動きは、観る者を感情移入させます。彼らの選択に観客自身が葛藤するような仕掛けが施されています。
映画「ロストケア」口コミ

ただの社会派ドラマかと思って観ましたが、想像以上に心を揺さぶられました。特に主人公の葛藤や、彼を追う刑事の視点から描かれるストーリーが印象的です。観終わった後もしばらく、正義と悪について考え続けてしまいました。



主演俳優の演技が本当に素晴らしかったです。一つ一つの表情や仕草に感情が込められていて、スクリーン越しにその思いが伝わってきました。特にクライマックスのシーンでは鳥肌が立ちました。



テーマがとても重いですが、家族や友人と話し合うきっかけになる映画だと思います。私自身、映画を観た後に家族と介護の問題について真剣に語り合いました。



ストーリーだけでなく、映像美や音楽の使い方も素晴らしかったです。静かなシーンでの音の使い方や、画面いっぱいに広がる自然の風景が映画のテーマをさらに引き立てていました。



答えを出さない映画という印象でしたが、それが良かったです。観客に考える余地を与えてくれるので、自分なりの答えを探す楽しさがありました。
まとめ
今回の記事では、映画「ロストケア」ネタバレを解説しました。
映画「ロストケア」は、松浦寿輝の芥川賞受賞作を脚本家・荒井晴彦が自ら監督を務めて映画化。
ピンク映画界の斜陽という原作にはないモチーフを取り入れ、切なくも純粋な愛の物語を綴る。
それでは最後までお読みいただきありがとうございました^^
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